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【あんなぁ よおぅききや】NO.01 あられ

あんなぁよおぅききや

幼稚園に行く前だから、まだ戦争も始まらず、うちも大きな商いをしている頃で、
工場では多くの人が麸をつくっていました。

二階の奥座敷で病気のお祖父さんが寝ていました。
その枕元で積み木をしたり、お話をしたりして、良く遊んでもらいました。

お祖父さんから、おやつにあられをもらって食べている時に
「良えのは残しておいて、小さいのや割れたのから先に食べんとあかん」と言われました。
たぶん形のきれいな大きいのから食べていて、割れたのや小さいかけらばかりが残っていたのでしょう。

お祖父さんがなくなり、中学生の頃、父にその話をしたら、教えの続きの話をしてくれました。
「割れているのや欠けている形の悪いあられを食べて、良いのを残しておいたら、
最後にきれいなのが食べられるやろ。」

"あとの楽しみ"があるのと、自分が悪いのを食べて、
他人に良いのを食べてもらえるようにする気持ちが入っているのや。
悪いのばっかり残していたら、食べるのが嫌になって、最後まで食べず、つい途中で捨ててしまう。

 

面白ないことや嫌なこと、面倒な事は先に済ませてしまう方がいいのや
何事も悪いものから片付けていく癖をつけてやろうとお祖父さんは思うたのやろう。

大人になったら、嫌なこともしなならんこともある。
嫌な人に会わんならんこともある。
ついついと嫌なことは後でしよう、明日明日と思っていたら、
いつまでたっても胸の辺りがジーンと重たい気分がつづくもんや。
さっさと嫌なことから先に片付けておいたら、気分がいつも晴れ晴れとしている。

 

人間生きてる時はいつでも気分良ういたいもんや。

 

商いもいつも気分良う仕事せんとあかんのや、嫌々仕事したり、 面白ない事が心の中にあると、

気が入ってないから良え品物が作れへん。
気分良う仕事してると不思議に面白いほど、良えもんがあがるんや。
良え品物があがると、お客さまが喜んで買ってくれはるのや。
褒められるからうれしい。うれしから良え品ができるようにきばる。
この繰り返しが大事なんや。

 

あんなぁ よおうききや

 

お前が幼稚園にもまだ行かん小さい時に
『割れたのから先に食べるのや』とお祖父さんが教えはったのは、

 

「小さい時から嫌なことや悪いことから先に片付けていくのを癖にしてほしかったのや。
これは、お祖父さんからおまえが教えてもろた大きな財産や。
大事に守らなあかんえ」

 

 

初めて教えを受けたのを覚えているのは、お祖父さん(九代目)からです。

今も、あられやお豆を食べる時には、 「そうや、そうや、割れてるのからや」と思い、

病気で寝ていたお祖父さんのことを思い出します。

 

合掌

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